Q「銀行から定款の提出を求められたのですが、うちの会社の定款はどこで発行してもらえますか?」

最初の定款は公証役場で作る

株式会社を設立する時は、公証役場で定款を作ってもらう必要があります。法律でそう決まっているからです。会社設立直後に定款の提出を求められた場合には、この定款を使うことが出来るでしょう。

公証役場が保管しているのは最初の定款だけ

公証役場が保管しているのは最初の定款だけです。会社設立後、会社の名前や住所、事業目的などを変更したい場合には、株主総会の決議を経て定款を変更する必要があります。では、この変更後の定款はどこでもらえるのでしょうか。

会社には定款の保管義務がある

結論、誰からも貰うことはできません。法律上、定款を保管する義務を負っているのは、会社自身だからです。こう言ってしまうと、失くしてしまったらどうしようと、かえって心配になってしまうかもしれませんがそうではありません。「これが当社の定款です」ということは、公に証明してもらうのではなく、会社自身が証明できるということです。定款を失くしてしまったとしても、会社で再度作成をし、その末尾に「これが当社の現行の定款です」と、代表取締役が判子を押せば良いのです。なお、定款の提出を求める側が確認したいのは、今現在の定款がどういう内容かということですから、会社設立から時間が経過しているような場合、仮に設立時から定款の内容が変わっていなくても、最初の定款ではなく、前述した代表取締役の判子が押された定款の提出を求められることもあるでしょう。

公証役場で作った定款はそれほど重要な書類ではない

私の普段の業務の中でも、「定款を見せてください」と言うと、数十年前の最初の定款を金庫から引っ張り出してこられるようなケースが頻繁にあります。しかし、最初の定款を大切にとっておくことよりも、その後、会社の変更や法律改正に即して、定款を新しくしていくことの方が大切なのです。

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