相続手続きには、お亡くなりになった方の出生から死亡までの戸籍が必要になります。
複数の市町村に対して戸籍請求を行わなければならないケースも多く、この戸籍の収集が、最初の関門になります。そして、やっとのことで集めた戸籍の束を、不動産や預貯金等の相続手続きのため、金融機関など各種窓口に何度も出し直す必要があります。法定相続情報証明制度は、法務局(登記所)に戸除籍謄本等の束を提出し、戸籍の束に代わる証明書(以下、「法定相続情報一覧図」という)を発行してもらえる制度です。この制度を利用して法定相続情報一覧図を取得すれば、戸籍の束を何度も出し直す必要がなくなります。
一見便利そうに感じられる制度ですが、実はそれほど利用されているわけではありません。法定相続情報一覧図を取得するためには、収集した戸籍の他、所定の申請書・その他の添付書類を準備したうえで、法務局に申請をする必要があります。収集した戸籍をそのまま提出しても相続手続きはできてしまう訳ですから、余計な一手間が増えるだけと感じてしまうのが主な原因だと思います。
しかし、一手間かけてでも法定相続情報証明制度を利用したほうが良いケースもあります。以下、一例を紹介します。
「Aさんはお父さんを亡くしました。相続手続きをしなければいけないことはわかるのですが、一体何から手を付けたら良いかわかりません。そこで、住んでいる市町村が主催する無料の法律相談会に行くことにしました。相談会でアドバイスされたことは、Aさんの場合相続税が発生する可能性があるため、まずは税理士に相続税申告の手続きを依頼し、その他の相続手続きについては、必要に応じてその税理士から専門家を紹介してもらえば良いのではないかということでした。相続税の申告には10か月という期限があるそうですし、もっともだと思い、Aさんは税理士に相続税申告を依頼しました。その後、無事期限内に相続税申告が済み、税理士から紹介してもらった司法書士に頼んで不動産の名義変更も済ませ、最後に預貯金の相続手続きに手を付けました。すると、ひとつの銀行から、当行の規定では取得してから3か月以内の戸籍を提出してもらう必要があると言われてしまいました。Aさんの手元にある戸籍は税理士への依頼時に取得したもので、取得してから半年以上の期間が経過しています。やむなく、Aさんは苦労して集めた戸籍全部を再度集め直して、その銀行に提出しました。」
相続が発生した場合には様々な手続きが必要で、全ての手続きを済ませるのには時間がかかります。2~3ヵ月で済むことはごく稀でしょう。戸籍には法律上の期限は設けられていませんが、手続き先によって、期限等を設けているところがあります。やむを得ないことではありますが、戸籍の取り直しには手間も費用も掛かりますから、できるだけ避けたいところです。
えん司法書士事務所では、不動産の相続登記申請手続きをご依頼いただいたお客様に限り、法定相続情報一覧図の取得を無料で承ります。
先の事例で、司法書士に不動産の名義変更を頼んだ際に、法定相続情報一覧図の取得も依頼していたとするとどうなるでしょうか。そのまま銀行の手続きで使えたかもしれませんし、仮に、法定相続情報一覧図取得から3か月以上経ってしまっていたとしても、戸籍ではなく、法定相続情報一覧図を再取得すれば済むかもしれません。再取得にかかる手間も費用も格段に少なくて済みます。
えん司法書士事務所は、単なる手続代行に終始するのではなく、より良い解決方法を皆様に寄り添い考えます。相続手続きでお困りの方は、本厚木駅すぐ近くのえん司法書士事務所までお問い合わせください。
*事案によって、そもそも法定相続情報証明制度を利用できない場合、無料でのお引き受けができない場合等がございます。
ご相談は、本厚木駅すぐ近くのえん司法書士事務所へ